あよめゆそ日記

日常を深く考察して、価値ある豊かなものに・・・

『お金』から『幸せ』を考える・・・

先日、こんな本を読みました。
今まで読んだ経済の本と比べものにならないくらい、シンプルかつ易しくお金の本質が書かれています。
それくらい衝撃でしたし、自分の考えを深めていただいた本でした。
この本に書かれていることを整理しながら、自分なりに『お金』を考えてみました。。。
 

●そもそもお金は流れているだけで増やせない。大事なのは「効用」。

この本では、経済を考えるために大事なことは「お金」ではなく、その裏にいる「人」に注目することだと言っています。
お金そのものにはなんの価値もない。
お金にできることは、労働とモノ・サービスの分配だけ。
働くことで、モノ・サービスを作り出し、それにより誰かの生活を豊かにしている。
大事なのは「効用」(*)である。
(*)経済学でいう、モノ・サービスを消費することで得られる幸せのこと
 
こういう考え方をすると、
GDP(国内において1年間でモノの生産・サービス提供のために流れたお金の総量)が大きくても、それで人々が幸せになるとは限らないし、コロナウイルスが蔓延し出した時に起きたマスクの転売などの行為は、他の人の「効用」を奪うものだよね、という見方ができます。
 

●「消費」、「投資」の意味

「消費」は、モノ・サービスがもたらす“効用”と“価格”(払うお金)を比べて行われる。
「投資」は、事業がもたらす“収益”(将来生み出される効用)と“費用”(事業を始めるのに必要な労働力)を比べて行われる。
ヘタな投資は、労働力のムダ使いであり罪。
消費や投資により流れているお金が、労働の分配を決めていて、その配分により未来が作られている。
 
「お金を使う」ということは「誰かにモノ・サービスを提供してもらう」ということです。
だから、間違ったことにお金の使う(「消費」or「投資」)と、そのための労働力が無駄になってしまいます。
 

●いかにして、少ない労働力でいかに効用を最大化できるか。

効用に見合わない労働や資源が投入されるのを放っておくと、社会はどんどん疲弊していく。
経済効果とは、どれだけお金が移動したか?という意味だが、大事なので、どれだけお金が移動したか?(労働力が費やされたか?)ではなく、どれだけ幸せがもたらされたか?
 
少し話しはずれますが、「お金を使って時間を買う」という表現があります。
労働力の付け替えみたいなことですね。
ただ、その労働により生み出されるモノ・サービスに大した価値がなければ(効用が生まれなければ)それは無駄。
逆に、価値があれば、生産効率を上げる効果的な行為になります。
 
 

●原価は突き詰めれば、「地球資源」と「人」だけ。

この本には、こんな話しも出てきます。
これも私にとってはとても大事な気づきでした。
確かに、世の中の組織における損益計算書に記載される費用項目は、突き詰めると、「地球資源」と「人」(人件費)に行きつきます。
見方を変えると、「地球資源」と「人」がなければ経済活動はできない、ということ。
経済活動とは、「お金」というツールを使って社会全体で「効用」を高め合う活動ということなので、「地球資源」と「人」がいかに大事か、ということがわかりますね。
 

●国や社会の問題について

本の中では、お金と社会問題との関係についても、触れています。
例えば、「年金問題」。
問題の本質は、高齢者が増えて働く人が減ること、一人当たりの労働の負担が増えることである。
つまり、お金を高齢者に配ったところで、労働力が減って、生産能力が落ちれば、必要なものが手に入らない。
お金で解決することではない。
 
確かに、高齢者全員に老後資金2000万円を配ったとしても、それに対応できる労働力がないので、結局、労働力の単価が上がって、モノ・サービスの値段が上がる(つまり、インフレ)、結局、生活の苦しさからは脱却できない、みたいな状態になりそうですよね。
つまり、問題はお金では解決しない、ということ。
 
また、「国の借金」についても触れています。
日本政府が借りたお金(日銀で刷ったお金)で外国の人に働いてもらうと、それは後から働いて返す必要がある。
逆に国内の人に働いてもらうだけあれば、お金が移動するだけなので問題ない。
(お金が国財布にあるか、企業・個人の財布にあるか、という違いだけ。。。)
財政的に破綻した国が共通するのは、外国に労働の借りを作りすぎたこと
日本は過去からの累積貿易黒字を蓄積がある。
つまり、外国に労働の貸しを作っている状態なので、つぶれない。
 
日本の財政状態が悪いのに、潰れない理由がよくわかります。
 
 
これまでの話しから、
 

私たちは、自然を大切にしないといけない。

そして、ともに働くということで助け合って生きている。

 

という、道徳のような話しが、経済の視点から見えてきます。
 

お金の裏には必ず人がいて、必ずその人が問題を解決している。

決して、お金が解決しているわけではない。

お金のむこうに人がいる

 
 

●少子高齢社会の日本でこれから生きていくか?

この本を読み終えた頃には、私の中では、もはや本の主題は「お金」ではなく、「幸せ」になっていました。
これからの「幸せ」を生きていくには必要なを考えてみました(特に、日本の社会で)。


まず、


「自分の幸せのために必要なものを理解すること」

 

社会が豊かになったことの証だとも思いますが、もはや、消費することが幸せにつながる時代ではなくなっています。

社会的な常識とか慣習とかいう尺度と、自分の幸せの尺度って本来違うものだと思います(例えば、社会的には会社の中で出世することが幸せのために必要なことだと思われていても実際はそうでもなかったりすことの方が多いですよね)。

 
その上で、
 
「自分の幸せを実現できる消費・投資をすること」


一人一人が、自分の幸せの状態を明確にイメージできると、無駄な労働で社会が疲弊するのを防げます。

自分が幸せにならない消費をしてしまうと、労働力のムダが生まれてしまうからです。

特に日本の場合、労働力が極端に少なくなる、質の高い労働力が多くない(テクノロジーなどの重要分野での人材不足)状況を考えると、一人一人が自分が幸せな状態を明確に理解して、そこに素直に生きようとする心構えがとても重要に思えます。

また

「労働そのものが幸せにつながる仕事をすること」

 

1日のうち、それなりの時間が労働に割かれます。

それであれば、労働することそのものが幸せにつながることを追求する方が効率が良いですよね。

現実的には難しくとも、少しでもそういう時間を増やす工夫が必要だと思います。

 

 

また、社会全体としての課題もあります。少ない労働力で効用を最大化するためには、上記のような個人レベルでの話しに加え、国・地球レベルでの視点で考えるべき課題もあると思います。

まず

「労働力の流動性を上げること」

 

社会に住む一人一人の効用を最大化するためには、労働力の質をあげ、量を確保し、柔軟に分配する必要があります。

ここで弊害になるのが「既得権益」。

古い制度を変える必要があるのに、権力をもった偉い人が、既得権益を守ろうとするために、変えられない。

だから、価値のない・廃れたモノ・サービスのために労働力が使われる。

個人的には、教育、社会福祉、みたいな分野は特にそうなってしまっていると感じます。
副業の容認、働き方改革(もう少し踏み込むと正社員の廃止など)など、不要な労働力が固定化しないように工夫が社会的に求められます。

また、
「未来への投資(子ども、生産性向上など)を行うこと。投資先を誤らないこと」

本書でも、取り上げられていますが、社会が子供を育てる意識が希薄化しています。

子どもは未来の社会を作ります。

シンプルに、みんなで子どもたちを育てよう、という社会意識の醸成、子育て世代が報われる社会的な政策が必要です。

最後に、
「自然を大事にする。」

当たり前なことですが、改めて感じます。

日本で言うと、エネルギー資源は少ないかもしれないが、水、森などの自然資源が豊富です。地域ごとに独自の文化もあります。それらを活かした観光業などは今後、日本を支える産業になっていくと思います。もっと、力を入れても良い、と思うのですが。。。


●最後に・・・

近頃、SDGsとかダイバーシティとかインクルージョンなどという言葉を聞きますが、その言葉の意味は上記で述べたようなことを、一言でキャッチーな言葉で表現しているだけな気がします。

「お金」の本質を理解することで、社会で人が幸せに共存することの意味、課題などが見えてきました。
 
皆さんは、どんな時に幸せを感じますか?
世の中の情報に目を向けがちですが、自分の心と向き合うことが幸せの第一歩なのではないか、そう強く思います。
 
 
ありがとうございました😊